一つだけ確かな事があります。この作品は最近「東方」に興味を持った人には勧められません。決して初見さんに配慮されてる作品ではありません。逆に言えば「東方」に何を求めるかで変わって来るでしょう。まず設定資料集の「東方求聞史紀」がオススメです。「東方文花帖」もですね。そして東方の根源を成す「スペルカード」について解説されている「The Grimoire of Marisa」です。ほのぼの萌え漫画なら他社製品ですが「東方三月精」がよろしいかと。その中でスペルカードが持つ「面白さ」に共感出来る人でなければ難しいでしょう。何故ならば「東方儚月抄」のテーマの一つに、スペルカードがあるから。この作品に限らず、「東方」という作品はスペルカードの持つ面白さの上に立っている。その面白さを凄いと認められない人は、この作品を見ても「ぎゃふん」と言わされるだけです。この漫画に少年バトル漫画を期待してはいけません。何故ならこの漫画は少女スペルカード漫画だから「ぎゃふん」と言わされるだけです。この漫画に「幻想郷」を日常的に殺戮が行われるダーク(穢い)場所と描かれる事も期待してはいけません。何故ならこの漫画は幻想郷を日常的に殺戮が行われる場所として見下す儚い月の民が、スペルカードに救われることなく最後に「ぎゃふん」と言わされる話だからです。「東方儚月抄」にはテーマ性とZUN氏の放つ作家性しかありません。後は秋☆枝氏の描く可愛らしいキャラクターだけです。決して万人向けの作品ではありません。「求聞史紀」などを見て、ZUN氏が描く幻想郷の「面白さ」を求める人ならば恐らく楽しめるかもしれません。ZUN氏は「他人の価値観を受け入れると言う事は、他人の価値観を認めないという考え方も受け入れると言う事。それはそれは残酷な話ですわ」と語った事があります。「東方儚月抄」も、「幻想郷より戦闘力が優れていればそれで満足」という考え方すらも幻想郷が受け入れる話です。それはそれは残酷な事なのかもしれません。この1巻は神様を燃料とした月旅行の為のロケットを作る話です。幻想的な話です。そこに意味を感じられるかでしょう。要するにレミリアがやりたいのは「自分が生まれる前に起こった戦争を体験する」事でしかないのですから。結果など分かりきってるつもりなのでしょう。要は過程や方法を楽しむ話です。それは、きっと楽しもうと思えば楽しめるのでしょう。少なくとも私は楽しかった記憶があります。最後に「The Grimoire of Marisa」から霧雨魔理沙のコメントをいくつか引用しておきます。「まず、スペルカードとは何なのかを説明する。スペルカードとは殺し合いを遊びに変えるルールで、要は適度に手加減しあって技を見せ合う物だ。」「スペルカード戦で負けても気持ち良ければ勝ちだ。遊びなんだからな。」「スペルカードが肌に合わないんだろうか、月の都会人には。」